1週間のワークショップもいよいよ最終日です。


最後のデモンストレーションは何を作ってくれるのでしょうか?はじめは何を作るのかを聞いても「内緒だよ」と教えてくれませんでした。でもどうやら「何かをしている人」のようです。今日もたくさんご来場いただいた皆さまと学生が注目するなか、デモンストレーションがはじまりました!
だんだん制作が進んでくるとマルティンさんが作っているのは「座っている人」だと教えてくれました。膝を抱えて座っている少しうつむいた人の姿がわかります。
ポンテをとる前に手足の指まで細かく丁寧に手を入れていきます。その後は上半身に移ります。この大きさの頭部に目、口、鼻、耳と昨日までと同じように内側から、外側から形作っていきます。
マルティンさんの制作にはほんとうに無駄な動きがありません。形を変えたい部分をちょうど良い温度まであたためて、迷わず手に取った道具を使って絶妙な力加減でガラスをほんの少し動かします。
それを繰り返しているとさっきまでプーっとふくらんだ単なるガラスの球だったものが、今にも飛び跳ねそうなカエルになったり、少し寂しげな人になってくるのです。
重曹を振りかけて、マレクさんが撮影を始めるとそろそろ作品完成の合図です。そして最後に見ている人に完成品を見せてまわってくれるので、皆さんカメラをかまえて待っています。まず今日の一作品目が無事に徐冷炉に入りました。
お昼休憩をはさんでこのワークショップ最後のデモンストレーションがスタートしました。「バイオリン」を作ってくれるそうです。まずいくつかのパーツを制作してガレージにキープしておきます。
そして本体の制作に入ります。まず大きくふくらませた球をひょうたんのような形にして、両手に持ったコルクのブロックで挟み込んでつぶします。この時点ですでに美しい形ですね。ここからマルティンさんの技が光ります。温めて伸ばしたり、ブローをもらってふくらましたり、ジャックや紙りんで徐々にバイオリン独特の形に近づいていきます。ブローポンテをとってパーツをつけながら、バイオリンの中心部分の微妙なふくらみ加減にも妥協しません。
およそ2時間半でガラスのバイオリンの完成です!

これで2014年秋のワークショップは終了です。マルティンさん、アシスタントのオンドラさん、マレクさんお疲れさまでした。この一週間通訳をしてくださった中神先生と記念撮影です!
そしてこの後は2年生企画のフェアウェルパーティーです。「チキンサラダ」「おでん」「おにぎり」「お味噌汁」「大学いも」「やきそば」にデザートの「プリン」も並んでいます。限られた予算でがんばってくれました。みんなお腹いっぱいで大満足です。マルティンさん達も喜んでくれたようです。さすが経験豊富な2年生の料理班さん!ごちそうさまでした!!
パーティーの最後には恒例のサインをしてもらいます。マルティンさんに続いて、オンドラさん、マレクさんにもお願いしました。

マルティンさんがいらっしゃる前はまず作品の写真に驚かされ、誰もが本当にホットワークで作られているの?と信じ難い気持ちだったと思います。そして実際に制作工程を目の当たりにしたこの1週間は想像以上の驚きと感動の連続でした。
パーティーで学生からマルティンさんにおくられたメッセージにもあったように、ホットワークでは回転体をつくるもの、ディテールにこだわる作品はキルンワークで作るものと思い込んでいたのは大きな間違いでした。ホットワークでここまでできる、またホットワークだからここまでできることをマルティンさんは教えてくれました。そしてあらたなガラスの魅力に気づかせてもらえたワークショップとなりました。
マルティンさん、オンドラさん、マレクさん1週間ありがとうございました!!(A)